ドク・オーチャンの独り言(その23)


--バンコクのムンムン!?--

 8月27日〜9月2日まで、学会に出席するため、タイ王国の首都バンコクに行って来ました。

 今まで行ったアジアの首都、ソウル、台北、北京などから予想していたよりも大きな首都の規模には驚きました。超高層ビルの乱立する根本には、昔ながらの屋台の食べ物屋や市場やらがひしめき、過去と未来とがごっちゃになってムンムンと蒸せ返っているような面白い都会でした。

 ムンムンと蒸せ返っているようなという表現は、8月の末でまだ雨期だったため、連日30度以上の暑さと80%以上の湿度とで、屋外はまるでサウナという感じだったからです。そのためか植物は元気で、大気汚染が進んでいるはずの繁華街でも、緑は濃く色とりどりの南国の花が咲乱れて、一層都会の華やかさを増しているようで、日本の造花で飾られた街と違い、本物の花に囲まれた街という感じでした。造花の虚飾とは違い、大都会の中でも力強い生命力を感じたのは、恐らくこの暑さと湿気のせいだったのでしょう。

 しかし、ひとたびビルの屋内に入るとキーンと冷房が効いていて、長時間半袖や半ズボンなどでいるとお腹が痛くなってくるような近代的環境でした。スカイ・トレインという電車や、出来たてほやほやの地下鉄にも乗ってみましたが、新しくてきれいでかなり冷房が効いてきて快適なのですが、降りた途端に蒸し風呂の中に入るという感じで、眼鏡がしばらく白くくもってしまって困りました。
 
 アユタヤーという昔の滅んだ都跡も見に行きました。たくさんの巨大な仏塔(パゴダ)が立ち並んでいましたが、全てはむき出しの煉瓦が積み上げられている廃墟でした。かつては黄金に輝いていたアユタヤーの仏塔は、夜になると黄金色の光でライトアップされ、昔の栄華の夢を見させてくれるのだそうです。現代の首都バンコクで陽光を浴びて燦然と輝くパゴダをみると、何百年も経た栄枯盛衰の両極端の典型を見るような気がしました。
 2年前に行った北京とも比べて、アジアは着実に発展しているという印象を受けましたが、日本のような一見全てが小綺麗になった状態までの発展には、まだほど遠いという感じでした。

 しかし、車の大渋滞を尻目に、舗道の木陰でのんびりとうずくまるバンコクの犬たちは、一匹として繋がれているものはおらず、また誰一人犬たちを追い立てようともせず、犬たちも吠えたりもしませんでした。私などは、舗道に横たわる保護色の犬たちを、時折つまずくか、踏みつけそうになってしまいましたが、驚いて飛び退く様子さえありませんでした。信仰的・文化的なものもあるのかも知れませんが、この先こういう光景がいつまで続くものやら、と興味深いものがあります。

 この犬たちを見ていると、人間も含めて、住み易さ、生き易さという点で、今の日本のような発展が果たして良かったのかどうか、という疑問がふと湧いて来てしまいました。しかし、バンコクの大河や細い運河の水は、巨大な浮き草を浮かべてはいるもののほとんど泥水で、衛生的な面での懸念は大いに残るのですが。

 ちなみにタイの国王の色は黄色、王妃の色はです。

(写真はタイ王室の守護寺院ワット・プラ・ケオの三種類のパゴダです)



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