--雪女と雪男--
筆者の生まれ育った雪国の2月は、完全に雪に埋もれてしまいます。屋根の「雪下ろし」ではなく、「雪のぞき」という表現の方が適切なほど、家の周りの雪の方が高く積もっているのです。
昔、ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の「怪談」の中の「雪女」という小説を映画化した作品がありました。雪に降り込められた二人の男が、山小屋で一夜を明かすことになり、年配の男の方が真夜中に現れた「雪女」に冷気を吐きかけられて凍え死ぬという始まりでした。しかし若い男の方は雪女に好かれ、命を助けられた上に、春になると美しい人間の女性に変身した「雪女」が訪れるのでした。
一般に、裏日本の雪国の女性は、色白で肌が美しく、また北方ロシア系民族の血が混ざっているせいか、いわゆる美人が多いと言われています。これは、日照時間が少ないため、皮膚のメラニン色素の沈着がわずかであることと、適度の湿気が保たれるため、皮膚にしっとりとした艶ができるためだろうとも言われます。このような白い美しい肌を、「雪の肌」とも言います。そのせいか、洋の東西を問わず、多くの雪の精は「女性」です。
アンデルセンの童話「雪の女王」も美しい女性です。何でも醜く映るという魔法の鏡のかけらが目に刺さり、冷たい心の持ち主になってしまった「カイ」という男の子を、北の国のお城にさらって行ってしまいます。
雪の美しさ、冷たさ、恐ろしさ、あるいは限りなく純粋で、静寂で、神秘的な奥深さなどが、「雪女」あるいは「雪の女王」といった「女性」を連想させるのでしょう。しかも善良ではなく、魅力的ではあるものの危ない怪しさを持った女性です。
一方、雪にまつわる「男」は、どうも単純なものが連想されやすいようです。「スノー・マン(雪だるま)」、「ヒマラヤの雪男」、「サンタクロース」などです。これらの男性たちは皆、浅薄で善良で裏が無く、何だかのんきに雪を楽しんでいるという感じです。昔から、雪国の女性は高い評価を得ている一方で、男性はむしろ評価が低いことが、このようなイメージを作り出したものと思われます。
どちらにしても、早く春が来て欲しい!!
(写真は、美智子皇后様が大変気に入られ2度も訪れ渡られたという、チェコの首都プラハにあるカレル橋です)