ドク・オーチャン:パートII April 2006

ドク・オーチャンは都合によりお休み期間をいただきましたが、2006年3月からまた新たに「ドク・オーチャン、パートII」としてスタート致します。
実は、ドク・オーチャンの作者は諸事情で、この4月から関東へ転勤することになりました。新しい勤務先は埼玉医科大学神経精神科です。この大学病院を中心に、新たに「子どもの発達・こころのクリニック」を開設することになりました。
新潟で診療させて頂いた皆様には、大変ご迷惑をお掛け致しまして申しわけありません。関東方面からお出でになられていた皆様には、近くになって都合が良くなると思います。これからも、どうかよろしくお願い申し上げます。
--野生の動物に餌付け?--
最近のニュースで、東京都が小笠原諸島の聟島で約200頭の山羊の駆除を始めたと言います。もともと人間が連れてきた家畜だったのですが、不要になると放ったらかしにされ、遂に逞しく野生化したものだそうです。山羊も家畜としては大人しいのですが、野生化すると群れて人間を威嚇するようになるようです。
山羊といえば以前、家内の実家に夏休みで泊まりに行った時のことです。近くにあった小学校から、「メリーさん」という名前の山羊が柵を越えて逃げ出し、子どもたちが大騒ぎをして私を呼びに来ました。どうも山羊は小さい子どもたちを威嚇するようで手に負えなかったようです。そして近くに私しか大人が居なかったので、捕まえて欲しいと頼みに来たのでした。私は蛇以外の動物は苦手ではないので、すぐに山羊を取り押さえて縄を引いて柵まで引きずって行きました。山羊はけっこう抵抗し、これでは子どもがたじろぐ筈だと思いました。
動物は、相手の大きさと気迫を敏感に感じ取ります。自分より大きくしかも闘争心むき出しの気迫を感じるとたじろぐようです。カナダのトロント動物園でのことです。ポニー・ライディングのコーナーがあり、子どもが乗って親が手綱を引いて周りを一周するのですが、どうも家内がたじろいだせいか、ポニーが道草をして動かなくなりました。優しい目をしたポニーなのに、家内がおっかなびっくりだったのを見透かしてでもいるようでした。仕方なく、私が手綱を引くとやっとのそのそと歩き出しました。家内は恥をかかされたと言って後で怒りまくっていました。
新潟の瓢湖には、毎年冬になると白鳥がたくさん渡ってきます。しかし、カナダで見た白鳥の湖の光景とは全く対照的なものがあり、非常に驚かされました。カナダでは白鳥が主体で、人間は観察小屋の中に籠もって小さい窓からそっと双眼鏡で除くだけでした。一般の人が直接餌をやるなどということは、厳しく禁じられていました。また、大きな音を立てたり、車のライトを当てたりすることも禁じられていました。野生の動物と人間とは直接接することを禁じられていました。この禁止事項を破ると、レンジャーに叱られたり、罰金を取られたりします。あくまでも野生の動物は野生の条件の中で見守るという、自然保護の理念が徹底していました。
一方、日本の瓢湖の方はどうかというと、野生の白鳥をまるで奈良公園の鹿のように扱っていました。鹿せんべいの代わりに雑穀の餌を店で売っていて、それをばらまくと白鳥が寄ってきます。はるばるとシベリアから渡ってきた白鳥たちは、ここでは村興しのための当別待遇の家畜同様に扱われているのです。しかも、湖畔のレストランや土産物屋のスピーカーからは、はやりの音楽や歌が大音響で流れ、一体、ここの人間達は白鳥のことを主体に考えているのかと、自分の目と耳を疑いました。環境省は一体何を指導しているのでしょう。瓢湖の白鳥担当の当事者は、白鳥に良かれと考えているのでしょうが、カナダの扱い方を見た後でこの光景を見せつけられると、まるでお為ごかしに白鳥を人間様のために利用しているだけ、という気がしてなりませんでした。
これと同じようなことが、我が国の育児や教育についても言えるような気がします。子どものためとは言いながら、実は大人の都合の良いようにころころと育児姿勢や教育方針を変えていくだけのような気がします。当の動物たちや子どもたちが主体では全く無いのです。このような大人主体の教育体制を抜本的に改めない限り、少子化や子どもの心理・行動の問題は減らないでしょう。
白鳥や他の野生の動物たちや子どもたちのことを真にかわいいと思うのなら、大人の社会の判断基準でこれらの生き物を取り扱おうとすることを早く止めなければなりません。
(写真は、八重桜です)