ドク・オーチャン:パートII October 2006
--GPS--
この春に転勤してから、何かと車を運転して移動することが多くなりました。高速道路を走ることも多く、カーナビもよく使うようになりました。このカーナビには、GPSというシステムが搭載され、現在車が地図上のどの位置にあるのかを瞬時に教えてくれます。
フリー百科事典「ウィキペディア」によれば、GPSとは、グローバル・ポジショニング・システムの略字で、全地球測位システムあるいは汎地球測位システムとも言われます。地球上の現在位置を調べるための衛星測位システムで、元来は軍事用のシステムです。
米国が軍事用に打ち上げた29個のGPS衛星からの衛星軌道と、衛星に搭載された原子時計からの時刻のデータを含む電波信号をGPS受信機で受け取り、受信した電波の時間差により衛星からの距離を算出し、三角測量の原理を用いて受信機の位置を測定するものです。
二個の衛星の電波を捉えれば地球上の平面での位置が分かり、三個以上の衛星の電波を捉えられれば更に高精度の情報を得ることができます。軌道上の20数個の衛星があれば、地球上の全域をカバーできることになります。受信機の上部を遮蔽されない限り、地形の影響で受信不能となることは少ないと言われます。
少し前に、この情報処理システムを悪用したスパイ映画もありました。宇宙の人工衛星から、地上の特定の人間に照準を当てて狙い撃ちすらできそうな程の驚異的な精度で作動するシステムが悪用されたらこのような恐ろしいことになるという内容の映画でした。
ところで、皆さんも既にご存知のように、このGPSシステムは携帯電話機にも搭載され、昨今の誘拐事件の多さにも影響されてか、学童の通学を監視するシステムとしても利用されるようになりました。こうして、今の子どもたちは、天上の神の目を通して四六時中監視されるようになってしまいました。
学校の帰りに道草をしていれば、瞬時に親からの連絡が入り、「何を道草しているの、さっさとお家に帰るのよ!」とお母さんに叱られてしまうでしょう。下校後にちゃんと塾に行かずにゲーセンで遊んで居ようものなら、また携帯端末にお呼び出しがかかり、辛いお言葉をいただくことになります。
大人でも、例えば浮気の疑いを持たれている夫にGPS付の携帯を持たせれば、現行犯で取り押さえることができるでしょう。更に、遠隔操作付の携帯を持たせれば、携帯電話の装置がスパイ・ロボットに変身して証拠写真すら撮ることも可能となるでしょう。そうなれば、もうジョージ・オーウェルの小説の世界のはるか上を行くことになります。
やがて誰も知らないうちに、携帯電話の会社が全ての人々の生活を隈なく監視することができるようになり、情報さえも操作し、事実上世界征服がなされてしまうという妄想も、あながち嘘っぽいとも言えないのではないでしょうか。
筆者は、このGPSシステムを深山・幽谷を彷徨う時に、山中で行き倒れにならないように、利用できればと思っています。そういう山奥にしか咲いたり実ったりしないという幻の春蘭やマタタビを探しに、春や秋の山を歩いてみたいと思っている今日この頃です。科学の粋を尽くしたGPSとは月とスッポンのような関係にあるレアもの植物が筆者の大好物なのです。マタタビの塩漬けも大好きですが、春蘭の塩漬けもたまりません。まるでネコかモモンガーのようですね。
(写真は虫食いのマタタビですが、花マタタビと言われるこの塩漬けが絶品の珍味なのです)