ドク・オーチャンの独り言(その40)


ドク・オーチャン:パートII November 2006

--ハロウインと虫歯--

 もう十数年も前に、留学で2年間滞在していた頃のカナダのハロウインのお話をしましょう。カナダでは、この時期になると、どのスーパーの店頭にも、大きなカボチャがごろごろと並びます。筆者の子どもたちも、日本語ヘリテージ・スクールから大きなカボチャを一つずつもらってきました。そして、ナイフとスプーンで中身を掘り出して、目と口を彫り貫いて、ジャコランタンを作りました。私も、当時住んでいたタウン・ハウスの近くにあった園芸店から、格好の良いカボチャを一つ買って来て、マイ・ジャコランタンを作りました。

 こうしてハロウインの夕方には、タウン・ハウスの窓辺に、合計5個の五面相をしたジャコランタンたちがろうそくの灯を燈して賑やかに並びました。夕食の後、子どもたちは連れ立って出かけて行き、代わりに何組もの子どもたちが、それぞれに工夫を凝らした仮装で家の玄関のドアを叩いて現れました。そして「Trick or Treat?」と口々に叫び、用意されていたキャンディーやらガム、チョコレートなどのお菓子の袋をもらっていくのでした。日頃、よく筆者の娘たちと遊んでいる子どもたちも仮装をしてやって来ましたが、全く知らない子どもたちも混ざってやってきました。

 それぞれが、何やらおどろおどろしいいでたちのコスプレで、悪魔、魔女、魔法使い、骸骨、船長、怪物、怪人マスク、動物の着ぐるみなど、思い思いの格好をしていました。まだ言葉を話すのがやっと位の小さな子どもも、親から仮面を着せられて抱っこをされながら回っていたりしました。もう外は真っ暗なので、懐中電灯ろうそくを燈して家々を回って来るのですが、何だか日本のお盆のお墓参りを想い出させる雰囲気でした。

 筆者の子どもたちも、ハロウインを楽しみにしていて、コスチュームの準備に余念がありませんでした。魔女やウサギの着ぐるみ、魔法使いなどの衣装を借りて来たり、母親に作ってもらったり、自分でも作ってみたり、少しお小遣いをはたいて生地を買ったりして着々と整えていきました。最後に、フェイス・ペインティングも完了して、いざ、これから「Trick or Treat?」の出陣という時に記念写真を撮りました。

 後日談ですが、このハロウインの施し物をうっかりと子どもに託したままにすると、とんでもない大騒ぎになることがあるということを、忘れないで下さい。それは、ハロウイン後の数週間を潜伏期として現れる、子どもたちの虫歯です。11月のある晩、突然末娘が「歯が痛い!」と泣き出しました。翌日から、子どものデンタル・クリニック通いが始まりました。筆者が付き添って行く羽目になり、まだ幼稚園児だった末娘の治療中もずーっと付き添ってなだめていなければなりませんでした。子どもの歯医者さんはとても優しかったのですが、白衣ゴーグルマスクという重装備でのしかかってくるものですから、娘に口を大きく開けてもらうのにずいぶんとてこずりました。

 一体、今まで虫歯になったことが一度もなかった子どもがなぜ急に虫歯になってしまったのでしょう。家内とよく考えた結果、夫婦同時に「ハタ」と気付いたことがありました。そう言えば、あのハロウインでもらってきたはずの大量のお菓子は一体どこに消えてしまったのでしょう。早速子ども部屋のクローゼットの隅を探すと、出るわ出るわ、隠し持ったお菓子の袋がざくざくと。子どもたちは、親に内緒で秘かに大量のお菓子を溜め込んで、毎日好きな時に好きなだけたくさんのお菓子を食べていたのでした。これでは虫歯にならない方が不思議な位です。すぐさま大量のお菓子は全て没収となり、以後だれも虫歯になる子どもはありませんでした。ハロウインには、とんだ落とし穴があることに気がつきました。皆さんも、どうぞご注意を。

(写真はジャコランタンです)



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