ドク・オーチャン:パートII December 2007
--フィラデルフィア--
11月末から一週間ほど渡米し、アメリカてんかん学会に出席させていただきました。今回のアメリカてんかん学会は、ペンシルヴァニア州フィラデルフィアで開かれました。数年前にタイのバンコックの学会に行って以来、久しぶりの国際学会で、かなり緊張しました。しかしかなり以前、二年間住んでいた懐かしい北米は、例の9.11以来の入国審査の厳しさとは言え、やはり暖かく迎えてくれました。
フィラデルフィアは、合衆国の独立を象徴する古い町で、ベンジャミン・フランクリンやボクサーのロッキーでお馴染みです。町の歴史保存地区には、そここにアメリカ合衆国の建設に寄与した人物の銅像が建っています。
有名なフィラデルフィア美術館にも、ルノワールのコレクションを見に行きました。ちょうど時期を同じくして、東京でフィラデルフィア美術館展が開かれていました。ルノワールの作品のうち、人物のコレクションは日本に出張していて、残りの風景画の展示のみでしたが、それでも大人気で、拝観の整理をやっていました。筆者としては、ルノワールの人物画、それも生気のみなぎる淡い光の眩しい女性像が見たかったのですが、風景だけでやや期待はずれという感じでした。それでも、これだけのコレクションをよく集めているものかと驚いてしまいました。
この美術館の建物は、市街地からのなだらかな上がり勾配で、ちょうど丘の頂上に建っている感じで、周りは落葉樹の巨木と広大なゆっくりとうねる芝生と河が流れ、恐らく春に来ればとても美しい景色なのだろうと思いました。
学会場は、旧フィラデルフィア駅舎跡のとてつもなく大きな市のコンヴェンション・センターでした。恐らく鉄道操車場の一部だったと思われる隣接した三階の吹き抜けの長い建物がモールになって繋がっていて、何度か買い物に足を運びました。そこには、懐かしいクリスマス・カウントダウン・カレンダー(クリスマスまでの24日分の日めくりチョコを仕込んだカレンダー)や、シュガー・ケイン(ツリーのオーナメントで、アメの小さなステッキ)などが賑やかに並んでいて、20年近く前のカナダにいた頃のクリスマスを想い出しました。くるみ割り人形のバレーを見に行ったり、親子の壮絶な騙し合いバトルの末に、とうとう「やっぱりサンタは居たんだ!」という結論を4人の子どもたちに信じ込ませたプレゼント騒動など、楽しい想い出がいっぱいでした。
比較するのもおこがましいのですが、筆者は現在、埼玉県の川越という所に住んでいます。川越は、戦国時代、北條氏康の出城に端を発する古い町で、現在は「小江戸」とも言われ、古い町並みを保存しています。川越のシンボルは木造建築の鐘楼ですが、フィラデルフィアのシンボルも合衆国独立の自由の鐘と町の中心にある石造建築の鐘楼でした。これら二つの鐘楼と、市内名所巡りの古風な外装の観光バスが、二つの都市に共通する「古き良き時代」の雰囲気を醸し出していました。折りしも、クリスマス・シーズンとあって、時折チラつく風花も、ヴィクトリア調の古き良きアメリカ移民時代のそのシーズンの趣を盛り上げる効果を十分に発揮していました。
今年もあっという間に過ぎてしまいました。皆様、どうぞ良いお年を。
(写真はフィラデルフィアです)