ドク・オーチャン の 電子マンガ・クリニック

カルテ10 熱性けいれんのお話


  

今月のテーマは子どもの急な発熱に伴うけいれんです。



 ● 熱性けいれんは多い?
   全人口のおよそ10分の1は、
  小児期に一度はひきつけを起こします。
   中でも最も多いのは、熱性けいれんで、
  小児の25〜30人に1人にみられます。
   家族にもよく熱性けいれんがみられ、
  遺伝が関係しているようで、
  最近いくつかの関連遺伝子がみつかっています。
   半数以上は一度だけで済みますが、
  全体の3分の1が熱性けいれんを反復します。



 ● 救急で診てもらうのはどんなとき?
  @ ひきつけや意識の無い状態(たいてい目を開けたままで、
   声をかけても反応が無い)が10分以上続くとき
  A 初めてひきつけたとき(特に1歳以下
  B ひきつけが体の左右で対称でないとき
  C 意識が戻っても、手足がだらんとして動かせないとき



 ● 髄膜炎や脳炎と見分けるには?
   熱性けいれんと似た症状で、
  とても困る病気に髄膜炎や脳炎があります。
   上の条件に一つでもあてはまるときは、
  髄膜炎や脳炎の疑いがあります。
   髄膜炎では、首が硬くなって前に曲げにくくなったり、
  背を丸めたり両足を曲げたりするとき痛がることがあります。
   髄膜炎や脳炎では、原因のウイルスや細菌による脳の傷跡から、
  てんかんという慢性の(たいていひきつけを繰り返す)
  病気が発症することがあります。



 ● こんな時には小児神経の専門医に相談しましょう!
  @ ひきつけが長引くか、24時間以内に反復したとき
  A ひきつけが身体の左右で対称でなかったとき
  B 発達の遅れなどの神経学的な異常があるとき
  C 1歳以下で初めてひきつけたとき
  D ひきつけを頻回に繰り返したとき
  E 家族にてんかんの患者がいるとき



 

 ● 熱性けいれんとてんかんの違い
   てんかんは、熱が無いのにひきつけを
  2回以上繰り返す病気
で、
  お薬を続けて飲まなければなりません。
   熱性けいれんのごく一部(3〜5%)が
  てんかんに移行します。
   上の条件に一つでもあてはまるときは、
  「複合型熱性けいれん」といわれ、
  てんかんに移行しやすくなります。
   てんかんについては、
  後日詳しくお話します。



 ● 熱性けいれんでも予防接種をしてもいいの?
   最近の小児神経学会の指導は次のようです。
   単純型の熱性けいれんではいつでも、
  また複合型熱性けいれんでもひきつけの2〜3カ月後ならば、
  どの予防接種を受けてもかまいません。
   ただし、心配ならば小児神経の専門医とよくご相談下さい。
   予防接種は、あくまでも、本物の感染症に罹るよりは
  予防接種をしておいた方が安全

  という考え方を基にして行うものです。
   ドク・オーチャンの経験からは、
  熱性けいれんやてんかんだから予防接種で副反応(副作用)
  が起こりやすい、とは言えません。

 ● ひきつけ止めの坐薬って何?
   「ダイアップ坐剤(商品名)」という
  ひきつけ止めの坐薬があります。
   挿入後15分位で十分な効き目が出ます。
   副作用として、一時的に多少の眠気、
  ふらつきなどがみられることがありますが、
  心配ありません。
   1回でもひきつけたら、安心のためにも、
  何本か常備されることをお勧めします。
   4・6・10mgの3種類あり、
  使う量は体重の半分位のミリグラム数が目安です。

教えて!ドク・オーチャン

 ?近所に小児科がありません?
   今度、引っ越しをするのですが、近所に病院がありません。
  一番近くても車で20分程かかりますが、我が家には車がありません。
   少々の熱なら病院に行かなくても大丈夫でしょうか。
   また、小児科でなく、内科でも小さい子(3歳と2歳)を
  嫌がらずに診てくれるでしょうか。

お答え!

 !挨拶がてら、情報収集をしてみましょう!
   まず、引っ越しの挨拶に回るとき、近所の人にどこがいいか、
  近いかを聞いてみるのが一番です。
   同年代の子どもを持つお母さんに出会ったら、直接聞いてみるのも良いでしょう。
   内科でも、2〜3歳以上なら診てもらえると思いますが、
  あらかじめ電話で問い合わせてみましょう。
   できれば小児科でいつでも診てもらえるホームドクターがみつかるといいですね。
   少々の熱があっても、食欲や機嫌、元気さなどがいつも通りなら
  市販の薬などで一晩ぐらい様子を見ても良いでしょう。
   ただし、幼児は稀に、病状が急変することがあるので、
  「これはいつもと違う!」と思ったら、迷わず救急で診てもらいましょう。
   そんな時には、救急車を呼んでも良いのです。