ドク・オーチャン の 電子マンガ・クリニック

カルテ12 けがの手当

 ポカポカと暖かい季節になりました。
  子どもたちも外で遊ぶようになって、
 けがが多くなります。けがをした時、
 ちょっとした手当の仕方を知っていると、
 とても役に立ちます。
 家庭でできる危機管理の一つと言えるでしょう。



 最も多いのは、すり傷です。
  傷の中に、泥や小石・砂などが入ってしまい、
 治りが遅くなります。
 痛がっても、十分に水洗いして流し出しましょう。
 皮膚は、身体を細菌の侵入から守る防護壁です。
 皮膚が破れると、そこから細菌が侵入し、
 これと戦って死んだ白血球の固まりが膿(うみ)になります。
 かさぶた(痂皮)は、傷口からじわじわと滲み出てくる血液の成分が固まった
 もので、傷を保護するための仮の防護壁なのです。この防護壁の下で傷の
 修復工事が 大急ぎで行われます。傷に乾燥パウダーの傷薬を付けたりすると、
 これは身体にとって異物なので、身体自身が傷を治す仕組みに逆らうことになり、
 かえって治りが遅くなります。ロボットがいくら高性能になっても、
 人間の持つ「自然の治癒力」を持つことはできません。
 それは、命あるもののみが持っている驚くべき再生能力なのです。

 @切ったら・・
  出血したら、まず傷口をしっかりと押さえましょう。
 鮮やかな赤い血が勢い良く出ると時は、動脈からの出血です。
 この時は、心臓に近い方を強く圧迫します。

 A目にゴミが入ったら・・
  決してこすってはいけません。ゴミが角膜
 (眼球の表面をおおっている透明な膜)を傷つけてしまいます。
 涙をたくさん溢れさせて流し出せればベストです。

 Bハチに刺されたら・・
  ハチの巣は決してかまってはいけません。
 ハチやアブが来たら、まず逃げることです。
 ハチやアブは、甘い臭いに誘われてやって来ます。
 虫除けスプレーを付けておくと比較的安全です。
 ハチの針はセロハンテープを人差し指などに裏向きに巻き付けてそっと
 くっつけると取れます。この方法は、小さなとげを抜く時にも使えます。
 同じハチに二度目に刺されると、アレルギー反応が起こることがあります。
 素人療法は化膿することがありますから、やたらな薬は塗らないこと。

 Cやけどをしたら・・
  やけどをすると、熱の作用で皮膚とその下の組織が壊れてしまいます。
 これを防ぐためには、まずいち早く冷やすことです。
 広い範囲のやけどは身体全体にもよくありません。
 参考として、本人の片手のひらが体表のおよそ1%といわれます。
 子どもでは、10%以上(すなわち、片手のひらが10枚以上も入って
 しまうような広さ)のやけどは、生命の危険を伴います。
 やけどにはアロエの汁が良いなどと言われますが、単に冷やす効果だけでしょう。
 特に、水疱ができたら、決して無理につぶしてはなりません。
 皮膚が傷つくと細菌感染が始まります。
 民間療法でいろいろな物を付けるのはやめましょう。

 Dくじいたら(捻挫)・・
  腫れたり痛んでいる関節は、
 決して無理に動かしてはなりません
 身体の部分の大きさに合わせて、
 棒きれ、お箸、スプーン、紙コップ、
 ペットボトル、段ボールなど、
 あり合わせの少し頑丈で
 軽い素材を支えにして、包帯などを
 巻いて固定しましょう。

 E犬に咬まれたら・・
  犬の歯や、猫の爪などには意外な細菌や
 ウイルスが付いていることがあります。
 特に、野良犬などに咬まれて深い傷を
 負った時には、傷の周りの皮膚を少し取り
 除いてから、縫合する必要があります。
 他の動物、ペットの鳥などでも、もし傷付けられたら、
 消毒は十分にしておきましょう。ペットはかわいいものですが、
 本来あまり清潔ではないことを忘れぬように。
 最近は、狂犬病はありませんので、その点はご心配なく。

 Fとげを刺したら・・
  穴の開いている硬貨の真ん中で、とげの周りをしっかりと固定すると、
 とげの刺さっている皮膚の部分が少し盛り上がるので、抜きやすくなります。
 一度お試しあれ。とすると、救急箱には五円玉も必要かも?

 G打撲したら・・
  打ちつけた硬い物と骨との間の、皮膚や筋肉などの組織が瞬間の強い圧力で
 壊れています。細い血管などが破れて、皮膚の中で出血して腫れ上がった
 ものが「たんこぶ」です。出血をひどくさせないためにも、
 決してもんではなりません。くじいた時と同様に固定しましょう。

 H頭を打ったら・・
  脳しんとう(単に脳が揺すぶられただけのもの)でも、
 頭痛、もうろう、嘔吐などがみられることがあり、本当に困ったサインなのか
 どうか区別が付かないこともあります。もし心配ならば、すぐに総合病院か
 脳神経外科病院で、頭部CTスキャン検査を受けましょう。
 最近の機械は10分位で検査ができますし、骨が折れていないかどうかも
 すぐに分かります。

 Iガラスを踏んだら・・
  芝生が青々としていると、ついつい裸足で歩いてみたくなるものですが、
 ご注意を。ガラスを踏むと、体重がかかっているので意外と深く刺さっている
 ことがあります。それと、先が鋭いので、太い血管が切れて大出血することも
 あります。まれに、土の中の破傷風菌が入ることもありますから、
 破傷風のワクチン(三種混合ワクチンの一つ)はしっかり受けておきましょう。

 J挟んだら・・
  同時に二方向から瞬間の強い圧力がかかり、皮膚や血管などの組織が壊れて
 います。打撲した時と同様に固定しましょう。
 小さい子どもは意外な狭い場所に手が届き、挟み込む事故がよくあります。
 特に車のドア(スライド・ドアなど)は要注意です。

  救急箱には、このマンガで挙げた物を
 そろえれば、たいてい用が足りるでしょう。
 コットンボールやウェットティッシュなども
 役立ちます。薬局に行くと新しく工夫した
 救急セットがたくさんありますが、
 身体自体が持っている「自然の治癒力」を
 十分に生かせるような、基本的な救急用具
 
だけで良いのではないでしょうか。


教えて!ドク・オーチャン

 ?耳鼻科に通院中に風邪を引いたら?
  中耳炎でずっと耳鼻科に通っています。この状態で風邪を引いたら、
 耳鼻科と小児科、両方に通わなければいけないのでしょうか。
 耳鼻科で風邪を診てもらってもいいのですか?それとも中耳炎の方は
 お休みして、小児科に通うのですか?

お答え!

 !軽い風邪なら耳鼻科でもオーケー!
  耳鼻科は正式には「耳鼻咽喉科」といい、外科系の診療科です。
 耳・鼻・喉は、また顔の骨の中にある空洞(副鼻腔)とも、
 顔の奥の中心で全部つながっています。
 これらは、風邪を引くと真っ先にウイルスや細菌が侵入して炎症が起こり
 やすい所です。ですから、まだ風邪の引き始めで耳・鼻・喉の症状だけなら、
 とりあえず耳鼻科で診てもらってもよいでしょう。
 耳鼻科でも、抗生物質や風邪薬を処方してもらえます。
 ただし、ひどい高熱でぐったりしている時、あるいは咳がひどくて
 嘔吐してしまう程
だったり、ゼイゼイと息苦しかったりする時は、
 ウイルスや細菌が、喉よりももっと身体の中の方で炎症を起こしているかも
 知れません。小児科の出番です。また、このような症状と同時に耳が
 痛かったりするような時は、小児科と耳鼻科の掛け持ち受診が必要かも
 知れません。