ドク・オーチャン の 電子マンガ・クリニック
ようやく秋らしくなって来ました。
季節の変わり目は、自律神経の調節がなかなか追い付かず、
いろいろな症状、例えばアレルギーの症状などが
よくみられるようになります。
● アレルギー・マーチ(アレルギー行進曲)
子どものアレルギーの代表は、アトピー性皮膚炎、
アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、
それに喘息(気管支喘息)です。
血液中の免疫グロブリンIgE(アイ・ジー・イーといいます)
抗体の値が高いことを「アトピー性素因」ともいいます。
この素因のある子どもは、生後しばらくは、風邪を引きやすい、
下痢をしやすい、皮膚がかぶれやすい、などの症状があり、
生後3〜6カ月頃からアトピー性皮膚炎が出てきます。
2〜3歳頃に皮膚症状がやや軽くなり、代わって喘息が現れ、
次にアレルギー性鼻炎が続きます。
このように、いろいろなアレルギー性の病気が
入れ代わり立ち代わりで現れて来ることを、
アレルギー・マーチと言います。
● マストセル・タンクって何?
今月のマンガの中で暴れ回る
マストセル・タンクとは、
肥満細胞(マスト・セル)という白血球の一種
のことです。アレルギーの強い人では、
この細胞の表面にも、たくさんのIgE抗体が
くっついています。そしてそのIgEとアレルゲン
(アレルギーの原因物質)とが反応を起こすと、
マスト・セルの細胞膜が破れて中身の
ヒスタミンなどの物質が漏れだしてしまいます。
この物質が、毛細血管などの組織に作用して、
いろいろなアレルギーの症状を引き起こすのです。
● アトピーとアレルギーとは同じもの!
身体が、ある異物を「有害」と判断して
ブラックリストに載せることを「感作(かんさ)」と言います。
感作された異物が入ってくると、身体の防衛軍はこれを
撃退しようと戦いを始めます。
以前は、「感作」が無くてもアレルギー反応が起こることが
あると言われていました。そういうアレルギー性のことを
「感作無しの、型破りの」という意味で「アトピー」
と呼んでいました。
最近、アトピーの原因になるものは、胎内で既に感作が起こり、
赤ちゃんはそのブラックリストを持って生まれてくることが
分かりました。ですから、今ではアトピーもアレルギーも
同じ意味なのです。
● 「アトピー性皮膚炎=食物アレルギー」ではない!
アトピー性皮膚炎の子どもがみんな
食物アレルギーだと考えるのは間違いです。
アトピー性皮膚炎の子どもの
およそ1割だけが食物アレルギーで、
残りの9割は食べ物とは無関係です。
ですから、アトピー性皮膚炎と聞いただけで
勝手に卵や牛乳をやめてしまうのは乱暴です。
もし疑わしければ、まず小児科のドクターに
相談しましょう。
そこで確実に食物アレルギーと診断されたら、
覚悟を決めて主治医の指示通りの食物制限を
しっかりやりましょう。食物制限を根気よく続けると、
2〜3歳頃には食べても症状が出なくなります。
● アトピー性皮膚炎、治療の心構え!
1. 忍耐強く気長に。慢性の病気との長期戦の覚悟を。
2 . 定期的に受診しよう。症状も変わって行きます。
3 . 自己流は失敗の素。
勝手に自分の判断で治療法を変えると、
長引いたり悪くなったりします。
4 . 浮気は禁物。
民間療法で良さそうに思えても、まず主治医と相談しよう。
筆者の経験から、アトピー性皮膚炎は田舎に比べ
都会の方がひどいようです。これは、家屋の構造や食生活の変化、
大気汚染、精神環境の変化などが悪条件として
加わっているせいかも知れません。
● アトピー性皮膚炎、治療の基本!
最も大切なのは、毎日のスキンケア(お肌の手入れ)です。
汗やよだれ、食べ物などが顔や皮膚に付いたら、
すぐに洗い流して軟膏を塗りましょう。
お風呂に入ったら、石けんやシャンプーを使ってもかまいませんが、
よく洗い流しておくこと。特別な石けんは必要ありません。
お風呂上がりには、肌が乾ききらないうちに軟膏を塗りましょう。
かゆみは、かいたり温めたりすると、より強くなります。
爪をよく切ってヤスリをかける、厚着にしない、
チクチクする衣類を着せない、寝る時に温め過ぎない、
などの注意しましょう。
しかし、かゆみがあまりひどければ、かゆみ止めの薬を。
●
「強い軟膏」恐怖症!
最近、情報が氾濫して、ステロイド剤
(副腎皮質ホルモンの入った薬)の副作用が大げさに伝わり、
お母さん方の恐怖症の元になっています。
ステロイド剤の入った「強い軟膏」は、
アトピー性皮膚炎に大変効果があり、特に症状のひどい時には、
これ無しでは治療ができないことがあります。
小児科医は、この薬の長所も短所も知り尽くして使っています。
必ず指示通りに塗っていれば、副作用の心配はありません。
指示された軟膏を、指示された部位に、
指示された回数だけ塗ることが大切です。
皆様へ:去る9月11日より、米国多発テロ事件や一連の軍事的動向など大変化がありました。
今回のマンガでは、アレルギーを説明するため、ストーリーに兵器が登場しますが、
単に分かりやすくするためだけのもので、他意は全くありません。何卒ご了承下さい。